粉體塗料の供給體制の見直しが迫られている。國內(nèi)の粉體塗料需要は急成長とは言わないまでも確実に増え続けている中で、繁忙期には塗料メーカーの生産キャパを超える狀況になっている。そのため、ときには納期に2～3カ月かかってしまう事態(tài)に陥っている。結(jié)果として、ユーザーの生産ラインに支障をきたしたり、溶剤塗裝から粉體塗裝への切り替えチャンスをロスしたりして「やっぱり粉體塗料は使いづらい」とのマイナスイメージが定著しかねない。社會的に環(huán)境配慮意識が高まる追い風(fēng)の中で、粉體塗料市場の更なる拡大には供給側(cè)の體制整備が大きなカギとなっている。

昨年秋口より粉體塗料需要が旺盛となっている。環(huán)境配慮や1回で厚膜が確保できる作業(yè)性、塗料の回収再利用などの特徴から、溶剤塗裝から粉體塗裝への切り替えは広がっている。量産品を塗裝するのであればそうした効果は更に高まるため、「塗裝ラインを新たに立ち上げる際には、まず粉體塗裝を考えることが多い」?fàn)顩rだ。

國內(nèi)は景気回復(fù)傾向が見られ、粉體塗料ユーザーである製造業(yè)の稼働率は上がっている。粉體塗裝の普及率が高い鋼製家具分野では、大手メーカーが粉體塗裝ラインを増?jiān)O(shè)したり、溶剤塗裝から粉體塗裝へラインの切り替えを行ったりして需要が増えている。
また、數(shù)年前より太陽光発電関連が好調(diào)となっており、架臺やパワーコンディショナーの生産が増えている。ただ、特需的に増えた分野と言え、太陽光発電の買取制度の見直しもあり、今後の生産は減少することが予想される。

その他では農(nóng)機(jī)具や配電盤、フェンスなど建築関連でも粉體塗料需要は堅(jiān)調(diào)に推移している。
特に今年は4月に消費(fèi)増稅前の駆け込み需要があり、例年以上に納期対応に問題が生じた。塗裝業(yè)者や販売店からは「塗料メーカーからは納期に2～3カ月かかると言われ、現(xiàn)場の生産性に影響してしまう」「新たな調(diào)色品を?qū)潖辘筏皮猡椁à胜盲俊工炔粶氦温暏悉盲�。市場で�?月以降も好調(diào)となっており、例年落ち込みが見られる夏場の需要も全體的にはそれほどの減速感はなく推移している。塗料メーカーの出荷數(shù)量としては昨年比で6～8%の増加と見られる。

そのため塗料メーカーの製造工場はフル稼働狀態(tài)が続いている。工場は通常稼働では追い付かず、殘業(yè)や休日出勤はもちろん、2直體制を組むなどして生産性を上げている。それでも「既存ユーザーへの対応で手一杯で、迷惑をかけるため新規(guī)ユーザーへの営業(yè)展開は積極的にはできない。それでも案件の引き合いは多い」(塗料メーカー)という。逆に言うと、「生産キャパがもっとあればその分売れる」ということであり、需要と供給のバランスが合っていない狀況になりつつある。

國內(nèi)の粉體塗料市場は今後も拡大するとの見方が業(yè)界関係者の一致した考え。特に2020年に開催される東京オリンピックに向けて、関連施設(shè)や建物の建設(shè)、インフラ整備が進(jìn)む中で、粉體塗料の需要増が期待されている。こうした狀況下、塗料メーカーでは供給體制の再構(gòu)築の動きが出ている。

DNTと久保孝ペ関ペ
製造事業(yè)の合弁會社を設(shè)立

今年7月、大日本塗料と関西ペイントの子會社である久保孝ペイントが粉體塗料の製造事業(yè)を行う合弁會社「ジャパンパウダー塗料製造」を設(shè)立すると発表した。他業(yè)界に比べて連攜や統(tǒng)合が少ない塗料業(yè)界において、粉體塗料製造という限定であるものの、今回の3社連攜のインパクトは大きい。
今回決まった粉體塗料製造の合弁會社設(shè)立は、大日本塗料の小牧工場と久保孝ペイントの兵庫工場(メプコ)の2工場を有効活用することで、生産効率の向上、それに伴う生産コスト削減を狙っている。

連攜で効果が期待できると言うのには、溶剤塗料と違い粉體塗料は製造工程が多いことが起因する。一般的に粉體塗料の基本製造は①原料をミキサーで混合する②エクストルーダーで加熱しながら混練、冷卻しながら粉砕機(jī)で粗粉砕する③粗粉砕されたフレーク狀の半製品を粉砕機(jī)で細(xì)かく粉砕し分級する―といった工程を経る。小ロットでも大ロットでもロットサイズに関係なくこの製造工程を組むため、小ロットでは効率は良くないと言える。
更に手間がかかるのが清掃時(shí)間で、例えば粉砕ラインにおいて、粉體塗料の同系色相であれば粉の吸い上げ洗浄で済むが、色相が異なるときには水洗いをしなければならず清掃時(shí)間は長くかかってしまう。そのため、今回の合弁會社設(shè)立により、粉體塗料の樹脂系や同系の色相をある程度まとめて製造することで、生産コスト削減に大きな効果を期待する。

また、設(shè)備コストがかかる粉體製造ラインの設(shè)備投資についても、合弁會社で行うことにより効率的な投資が可能となる。當(dāng)面は製造のみを合同で行うとしており、原料購買や開発は従來通り別々に行う。配合についても互いにクローズとする。そのため、市場で3社が競合する姿に変わりはない。ただ、「將來的には開発を含めてどのような連攜の形になるかは未定」(大日本塗料執(zhí)行役員今市伸浩氏)と製造にとどまらない提攜が予想される。

ナトコ、中國拠點(diǎn)からの輸入開始

海外拠點(diǎn)からの供給を行うメーカーも出ている。ナトコは昨年設(shè)立した中國山東省の工場からの輸入、國內(nèi)販売を8月からスタートさせた。群馬工場だけでなく中國拠點(diǎn)からの供給體制を整備することで生産能力を上げて販売力を高めていく意向。
これまで國內(nèi)市場に対しては群馬工場からの供給のみであった。繁忙期には期間限定で工場を24時(shí)間させたり、設(shè)備的にも部分的な機(jī)械増強(qiáng)を図ったりして生産性を上げていた。しかし、そうした対応策では限界があり、更に粉體塗料事業(yè)を拡大させていくために中國工場からの輸入に踏み切った。ロットやユーザーに合わせたりして、國內(nèi)と中國の2工場で効率的に製造し競爭力を高めていく方針だ。

神東塗料でも千葉工場の稼働率は高まっており、生産キャパシティは限界に近づきつつある。そのため生産の効率化を図るとともに、海外のグループ工場で生産し國內(nèi)に持ってくることも検討しており、運(yùn)送コストや品質(zhì)管理などを調(diào)査している。
トウペでも好調(diào)な販売量を示す粉體塗料事業(yè)の課題となっているのが生産體制の見直し�，，F(xiàn)在、同社ではメインの三重工場と茨城工場の2拠點(diǎn)で粉體塗料を製造しているが、製造設(shè)備の老朽化が進(jìn)んでいる。

今後の展開として、「現(xiàn)行設(shè)備の更新や海外生産など幅広く、生産體制の強(qiáng)化に向けた検討を進(jìn)めていくとともに、販売體制も含めた粉體事業(yè)の方向性を打ち出すことが必要」との考え。
一方、川上塗料は今春、製造ラインの増強(qiáng)を図った。これにより生産能力は2割ほどアップし、消費(fèi)増稅前の駆け込み需要においても納期を遅らせることなく供給できたという。

海外拠點(diǎn)からの輸入が本命か

數(shù)字的に見ても、國內(nèi)粉體塗料市場は拡大を示している。経済産業(yè)省統(tǒng)計(jì)によると、平成25年度の粉體塗料生産數(shù)量は前年比9.4%増の3萬5,801トンとなった。今後の動きとしても、急激とはいかないまでも確実に増加していくことが予想される。
その中で各塗料メーカーがどのように粉體塗料事業(yè)を捉え戦略を進(jìn)めていくのか。前述したメーカー間の連攜や海外工場からの輸入という選択は、國內(nèi)粉體塗料事業(yè)を重點(diǎn)事業(yè)と位置付けての方向性を示している。

各メーカーの工場設(shè)備は老朽化を迎えており、部分改善では根本的な解決方法とは言えず大きな転換が求められている。とはいえ、國內(nèi)に新たな粉體塗料製造工場を建設(shè)するのは現(xiàn)実的ではない。新たに土地を確保し建物を建て製造設(shè)備を整えるとなると大きな投資となり、粉體塗料の市場価格、減価償卻を考慮すると厳しい事業(yè)戦略と考えられる。

そのため今後は海外調(diào)達(dá)が増えてくるのではないか。自社で海外に粉體塗料製造拠點(diǎn)を持っていなくても、現(xiàn)地メーカーのOEMという形で國內(nèi)に輸入することも可能だ。品質(zhì)管理やユーザー承認(rèn)、輸送コスト、納期など課題はあるものの、例えば量がまとまれば海外製造といった具合にすみ分けることで、國內(nèi)に工場を新設(shè)するよりは事業(yè)戦略として現(xiàn)実的と見られる。
また、國內(nèi)メーカーの事業(yè)統(tǒng)廃合の可能性もないとは言えない。製造の手間やコストがかかる粉體塗料事業(yè)を廃止し、他事業(yè)に注力する方針を打ち出すメーカーが現(xiàn)れてもおかしくはない。あるメーカーからは「生産キャパを上げるには既存の工場を買うのが、一番効率が良い。工場を2つ持つことでリスク分散にもなる」と本音をもらす。粉體塗料市場がどのように伸びていくのか、今はその過渡期に來ている。

粉體導(dǎo)入に活用
ものづくり補(bǔ)助金

國や自治體が設(shè)けている金融支援制度を活用して、塗裝業(yè)者が粉體塗裝機(jī)や設(shè)備を?qū)毪筏皮い毳暴`スが目立っている。従來溶剤塗裝のみしか行っていなかった塗裝業(yè)者にとっては新たに粉體塗裝を始めるきっかけとして有効となっている。
そこで、國が行っている「平成25年度中小企業(yè)小規(guī)模事業(yè)者ものづくり商業(yè)サービス革新事業(yè)」で採択された中から粉體塗裝関連をまとめてみると、1次公募1次締切では塗料塗裝関連の採択件數(shù)が43件あり、その中で粉體塗裝関連は2件であった。1次公募2次締切では89件中5件、2次公募では59件中3件であった。

○1次公募1次締切対象2件。
末広電器(群馬県)「環(huán)境と健康に配慮した新型粉體塗裝設(shè)備導(dǎo)入による防護(hù)柵の安定供給」
川熱(東京都)「超長期防錆力で貢獻(xiàn)するため試作開発自動粉體塗裝ラインを新設(shè)」
○1次公募2次締切対象5件。
森下鉄工所(茨城県)「粉體塗裝ラインの開設(shè)による製品の耐環(huán)境品質(zhì)の飛躍的向上」
元郷塗裝工業(yè)(埼玉県)「環(huán)境に配慮した省エネ型粉體塗裝焼き付けラインの構(gòu)築」
大雄塗裝(神奈川県)「粉體塗裝用『水切り乾燥爐』および『高溫?zé)喐肚餇t』の更新」
エヌエスティー(靜岡県)「粉體処理用プラズマ表面処理裝置の開発」
三和(広島県)「粉體塗裝設(shè)備導(dǎo)入による內(nèi)製化推進(jìn)計(jì)畫」
○2次公募締切対象3件。
セイキョウ(茨城県)「自動分多塗裝ラインの構(gòu)築による環(huán)境配慮化と製品供給の効率化」
星秀社(栃木県)「靜電塗裝による粉體と溶剤の可変ライン構(gòu)築を核とする新たな高品質(zhì)塗裝體系の開発」
大伝(山口県)「粉體塗裝ラインの構(gòu)築による製造環(huán)境の改善と生産性の向上」